2024年7月発行わんわん通信No42コラム
新しいステージ
わんわん通信No.38でも触れましたが、富士市に建設予定だった新しい(仮称)静岡県動物愛護センターが、いよいよ来年度から始動する予定です。現在浜松市にある、殺処分設備を備えた「動物管理指導センター」の移転という形ですが、殺処分設備は持たない“動物の命をつなぐための拠点”施設として、静岡県がようやく動き出します。
これまでの県の方針は、保健所に収容された犬の譲渡活動は全面的にボランティアの役割とされていて、県が保健所の責任において、保護犬を飼いたいという希望者に直接対応して譲渡することにはとても消極的でした。特に犬部の活動地域である、静岡県東部地区には政令市の保健所もなく、譲渡活動を担う公的な機関がありませんでした。浜松の動物管理指導センターでは、これまでも譲渡を行って来ていましたが、最終的には殺処分を行える施設です。東部の私たちにとっては“東部で保護された犬は東部で何とか助けなければ浜松に送られたら殺処分になってしまうかもしれない ”という危機感がありました。
何とかして犬の命を助ける・・・ということにおいて、この13年間、保健所にも様々な要望をし、話し合い、時には戦ってきました。保健所での収容期間の延長、犬の情報のスムーズな共有、老犬や病犬への対応、譲渡不適の判断の検討、保健所からボランティア以外の個人への譲渡、保健所収容中のトレーニング、ボランティアへの譲渡時の医療負担・・等々。他のボランティア団体さんたちもまた、保健所収容を助けることに協力しつつ、要望し続ける中で、少しずつではありますがあらゆる面で改善されてきたと思います。が、保健所から個人への直接譲渡については、相変わらずハードルが高く、個人的に尽力してくれた班長さんもありましたが、体制として定着するのにはまだまだ時間がかかるのだろうと感じていました。
が、今年4月に新たに就任された保健所の班長さんは、そのハードルをひょいと飛び越えてくれました。
まず、保健所に保護されている犬の情報をネットで公開している、「迷い犬情報」の内容がとても詳しい!
これまでは犬の外見的な特徴のみしか書かれず、ボラが預かりできそうかを判断するような犬の様子はの都度問い合わせないとわかりませんでした。が、譲渡を視野においた目線での詳しい情報が書かれ、それも個人の希望者が現れてくれることを目指して書いたようで、着任早々実際に個人への直接譲渡を成し遂げてくれました。また、数年前なら譲渡不適としてボランティアへの譲渡も危ぶまれたような高齢犬も、早々にシャンプー、爪切り、耳掃除等を済ませてくれ、看取りの里親を探してくれています。
その班長さん個人の情熱や力量というだけではなく、静岡県の動物行政が新しい方向に進み始めている現れとして受けとめると同時に、担当者の姿勢が変わるだけでこれだけのことができるんだということに、うれしい驚きを感じました。静岡県が確かに新たなステージに進むことを見届けると共に、それに伴って犬部の新たなステージも切り開いていきたいと思っています。
8月からの犬部 14期も、どうぞ皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。