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​2022年12月発行わんわん通信No38コラム

​静岡県から 殺処分施設が消える!

 「犬猫の殺処分をなくしたい」「殺処分施設の稼働を止めたい」という私たちボランティアの願いが、いよいよ静岡県で実現しようとしています。現在浜松市にある、ガスでの殺処分施設「ドリームボックス」(このネーミングには怒りの声がたくさんあがっていますが..)を備えた「動物管理指導センター」が、殺処分機能を持たないセンターとして、富士市に移転することになったのです。

 また、開設は令和7年の予定ですが、先日開かれたボランティア意見交換会で概要説明がありました。今のセンターは築47年で老朽化が進んでいること、殺処分施設としてのイメージが強くて愛護活動の拠点になりにくいこと、県中部・西部には政令市のセンターもあり東部だけセンターがないこと、等から、東部地区に殺処分設備を伴わずに「愛護」を充実させたセンターとして設置する計画との説明がありました。

 殺処分については、一切しないということではなく、生存が難しい等やむを得ない場合は個別に安楽死とし、ガスでの処分はしないという説明で、既にここ数年はガス処分機の使用はしていないということでした。収容については、これまで保健所では1週間の収容期限を過ぎると、主にボランティアが引き出して里親募集をしてきましたが、新しいセンターでは、里親がみつかるまで収容できるキャパを増やし、しつけや適切な運動ができるようにして、センターとしての譲渡も積極的に行っていく体制をつくるという計画です。また、猫を中心とした避妊・去勢手術もセンターでできるようにしたいと検討中とのこと。

 いいことずくめのようですが、ボランティアからは、“殺処分されないという体制が整うと安易に飼育放棄する人が増える”ことの懸念や、主に猫について“センターでの保護・譲渡の体制が整うと、収容をなくすためのTNR(野良猫を捕獲して、避妊・去勢手術をして、地域に帰す)活動が停滞してしまう前例が多い”等の意見もあがりました。施設を作ったからと言って、様々な問題が一気に解決することは望めませんが、やはりできあがってしまうとそこから変えていくのは簡単なことではありません。現実的な要望や意見を出し続けていくことはだいじなことだと思います。

 それでもやはり、ドリームボックスという残酷な名前のガス処分施設を静岡県からなくせることは、シンプルにうれしく思います。そして行政が、収容した犬の里親探しをボランティア任せにしないで取り組んでいくことで、安心できる里親さんをみつけることの難しさを実感してくれることを望みます。これまで浜松のセンターでは、子犬・子猫に限定した譲渡会しか主催していなかったのですが、新しいセンターでは、譲渡が難しい成犬猫・シニア犬猫こそセンターが積極的に関わってほしい、とパブリックコメントも出しました。子犬猫と成犬猫では、どれだけ需要が違うかを実感することで、愛護活動の方向性も変わっていくことを期待します。

 動物の愛らしさを伝えて触れ合ってもらう、というスタイルの愛護活動はもう不要だと私は感じています。命を引き受けるという責任の重さと長さをおとなに自覚してもらい、「飼わないという選択をする愛護」を浸透させるためにはどうしたらいいか、犬部の活動の中でも考えていきたいと思っています。

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