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​2021年3月発行わんわん通信No33コラム

​犬を飼うってステキですーーか?

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 もう20年近く前のこと、たまたま仕事で地域にある東京都の施設を訪れた時、待ち時間に何気なく手に取ったのが、表題の冊子でした。まだ犬部も発足しておらず、私は初めての犬を飼ったばかりの新米犬飼いでした。「犬」という文字があったから手にしただけであったその冊子は、全編カラフルなイラスト入りで、数分あれば読めてしまうものでしたが、読み終わった時には涙が止まらなくなり、その後の仕事に大いに支障をきたした記憶があります。

 この冊子は、東京都衛生局(現在は、東京都福祉保健局)が平成12年に発行した、犬の適正飼養のための啓発冊子です。が、あるべき論を並べた啓発本とは全く違って、生き物を育てるということはどんなことなのか、どんな苦労があってどんな喜びがあるのかを、日常に引き寄せて子どもにもわかるように考えさせてくれる内容した。それは、初めて飼った犬という存在の大変さといとおしさに重なり、当時子育て真っ盛りだった私の人間の生活にも重なり、深く心に残る1冊となりました。

 現在大部では、ブログや LINEとは別に、“犬が保健所に入って殺処分の危機にさらされるようなことがないように""家族として適正に飼う”ために大切なことの啓発を目的とした、ホームページをつくろうと準備をしています。

そのホームページへの掲載を検討するために、久しぶりにこの冊子を読み返してみて、改めてこの冊子の深さに気づきました。犬の保護活動に 10年関わってきて実感している、「犬を飼いたい」という思いは強いけれど、安心してお任せできない問題が、もれなく書かれていました。

 まずは、子犬の可愛さで先を考えずに決めてしまうこと。ご自分の年齢や犬種との相性など関係なく、ただただ子犬を求める人は後をたちません。犬の生涯を想像する前に、今の可愛さで決断してしまったら、1年もたたずに子犬ではなくなってしまう犬を、その先可愛がっていけるでしょうか?

 2番目は、犬を飼うことは子どもの責任でできることではないということ。「子どもに命の大切さを教えたくて…」「散歩は子どもが責任をもってやると言うから」と言うおとうさん、おかあさん。犬を飼うことは、金銭的にも、咬んだり病気をしたりへの対処にしても、おとなの責任のもと、おとなが決断して決めるべきことです。自分たちがやる、と言い張った子どもがギブアップしても、飼うことをやめることはできません。責任放棄したことを責められながら、後ろめたく思いながら犬を飼い続けるのは、子どもにも犬にも不幸だということも、この冊子には書かれています。

 3番目は、犬を飼うということは、大変な日常の世話を10年以上続けるということ。雨の日も風の日も散歩に行き、排泄の始末や病気の処置、吠えたりよそに迷惑をかける行為があれば詫びて回らなくてはなりません。可愛い、癒される、という時間は、地道な世話を続ける毎日の上に成り立っています。

 そして4番目には、人間は必ず犬の最期を看取ってやらなくてはならないということ。“犬より先に死んではいけません”とこの冊子には明記してあります。「犬を看取るなんて辛いから先に死ぬ」と言ったおじいさん。腫瘍を抱えてさ迷っていた犬に、「もう助からないのを見るのはかわいそうだから、犬が自分で死にに行ってくれたんだと思った。」という飼い主。かわいそうなのは犬ではなくて、自分のことではないでしょうか?

 一番最後に、“10年以上にも及ぶ犬との長い暮らしの中で、あなたが得られるものは、犬の純粋でまっすぐなあなたへの愛。そしてたくさんのやさしい思い出・・・。たぶん、それだけです。たったそれだけのことを、自分にとってかけがえのないものだと思える人だけが犬を飼ってください。犬を飼うってステキです。あなたがステキな人ならね。"と結ばれています。

責任をもって犬を飼う、ということは、実は犬だけではなくて、人間の家族との関係や地域とのつながりにも関わる大切な問題なのですね。

 

 ホームページが完成しましたら、ブログやラインでお知らせします。犬を飼っている人も、これから飼おうとしている人も、飼わないという選択をした人も、きっと感じるところがあると思います。

あなたが命を大切に思っているステキな人ならね!

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