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​2021年11月発行わんわん通信No35コラム

​殺処分ゼロのその先

 2020年度の静岡県の犬の引き取り統計が出ました。保健所管轄では、収容後の死亡が2頭、重篤な健康状態での安楽死が2頭でした。これで2018年度から3年間、譲渡の可能性がある犬の殺処分は行われていません。なおかつこの3年間、保健所に収容されて県の迷い犬情報に掲載される犬自体がとても少なくなっています。年に1回あるかないかの「収容ゼロ」の日に感激していたのが、この3年間は、頻繁に確認することができています。

 これからコロナ自粛が落ち着いてくるに従って、自宅時間が長くなったことで迎え入れたペットが、外出できるようになると不要になったり煩わしくなったり、またコロナ禍でのペットブームを当てにしていた業者が売れなくなった犬・猫を遺棄したり廃業に追い込まれたりで、保護される犬猫が増えるだろうという予測もあるようです。が、静岡県では、これまでボランティアと保健所とが時には戦いながら協力しながら、双方の努力で少しずつ状況を変えていき、殺処分前提の収容から生かすための収容にシフトチェンジしたという実感を持っています。これからまた収容が増えていったとしても、「生かすための収容」の前提がまた元に戻ることはないと信じています。

 このような状況の中、現在犬部の預かり犬は2頭です。受け入れ可能だけれど空いているという預かりさんが、数人います。こんなことは前代未聞です。私自身も含めて、ずっと預かりをしていると預かり犬がいない生活は楽だけれども物足りず、シンプルに“犬がほしいなー”と思います。譲渡会に来てくれる方やネット等で活動を応援してくれる方も、扱う犬が多ければ多いほど関心が高まります。預かりはできないけれど犬部の活動を手伝ってくれていたメンバーも、犬がいてこそモチベーション上がるという面は否めません。

 県外の保健所にはまだまだたくさんの収容犬がいるところもあります。ブリーダーや個人の多頭崩壊現場の犬を引き受けようと思えば、全国あちこちでそのような現場はあります。でも、保護犬が少なくなったから、犬がいないと活動が盛り上がらないから、他から犬を迎えるというのでは、見方を変えれば劣悪なブリーダーや無責任な飼い主あっての保護活動になってしまいます。

 犬部は、静岡県東部地域で保健所収容されて殺処分になる犬をなくしたい、という目標で丸10年活動をしてきました。そしてそれは、東部地域のみならず、静岡県全域でほぼ達成されました。目標が達成されたことで、これまでの保護活動には一度ピリオドをうちたいと思います。そして今後は、県東部という目の届く地域の「殺処分ゼ口のその先」として、一般家庭の飼育困難や飼育放棄犬への支援・保護を、今度は市町単位の行政との協力体制を築きながらやっていきたいと考えています。

 これまで犬部の活動にご理解・ご支援をくださった皆様には心より感謝しております。この殺処分ゼロは、犬部から犬を迎えてくださった里親さん始め、多くの協力者なくしては決して実現できなかったことです。命の期限に追われることのなくなった今からが、本当の意味で飼い犬の幸せをサポートできる時です。引き取り・譲渡という意味では、これまでとは全く違うペースになると思いますし、飼い主のいる犬と関わる状況では皆さんにご報告できないことも増えてくるかと思います。が、皆さんの周囲でおこっている飼育困難や飼育放棄についても、できる対応を検討していきたいと思っています。これからも地域の犬たちのためにぜひご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。

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