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​2020年2月発行わんわん通信No30コラム

​里親さん訪問

 2020年、最初のわんわん通信発行です。

 昨年もたくさんの皆様に応援していただき、犬部は資金難もひとまずクリアでき、活動を続けることができました。ありがとうございました。今年も1年、皆様のお力添えをいただいて、活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

 犬部は2011年から活動を始め、今年で9年になりますが、これまでに193頭を新しい里親さんに譲渡しました。そして3年前から、譲渡後のフォローを目的に「里親さん訪問」をしていこうと、メンバーが手分けをしてすべての里親さんに改めて連絡・訪問を始めました。それ以前に既に看取っていただいていた犬、連絡をした時に亡くなったと知らされた犬もたくさんいました。転居などで連絡がつかなかったり、“もうもらった犬なのだから訪問指導などされたくない”と拒否する里親さんもありました。犬部の譲渡条件も、活動当初は今よりもずいぶん緩く、譲渡後の訪問などはうたっていなかったので、受け容れてもらえなければ訪問はできません。どこまでどの程度フォローしていくのが犬と飼い主さんの幸せなのか、時には自問自答しながらも、この間115頭の里親さん宅を訪問させていただきました。

 初期に譲渡した犬たちは7~8年経っていますから、犬も人間も歳を重ね、犬にも人間にもその間に色々な変化が起こっています。直接譲渡した犬が譲渡後まもなく出産したとか、軽トラの荷台から落ちてケガをしたとか…肝を冷やすようなできごともありましたし、寝たきり介護の真っ最中だったり、緑内障が進行して失明していたり、ビビりが高じて外にお散歩に行けなくなっていたり…等という犬もいました。人間の方も、ご夫婦の一方が亡くなったり、お引越しをされたり、毎日お散歩してくれた息子さんが大学生になって家を出てしまったり…。

 それでも訪問した時に、譲渡した犬と共に様々なできごとに何とか対処しながら、すっかりひとつの家族になって暮らしてくれている姿に出会えると、ホッとしてとてもうれしくなります。そして、その犬が犬部にいた時のエピソードや、譲渡の時、迎え入れてくれたご家族の様子等を話すと、懐かしく感慨深げに聞いてくれます。どこかで誰かに飼われていたはずなのに、ある日行き場所がなくなり死の淵に立たされた犬を、助け出し、預かり、新しい里親さんに託す。里親さんはその犬と、泣いたり笑ったり怒ったりしながら家族として生き、看取ってくださる。里親さん訪問は、その命のリレーを一緒に実感できる時間でもありました。

 いつか、殺処分の危険にさらされる犬がいなくなり、保護ボランティアというもの自体がなくなる世の中が理想だ、というボランティアさんもたくさんいます。でも里親さん訪問をするうちに、“うちの犬はここから来た“というルーツとして、「犬部」があることも大事なのではないかと思うのです。この9年間に犬部のメンバーもほとんどが入れ替わっていますが、名前も年齢もわからない保護犬だからこそ、新たなスタートを知っている人がいてほしい。犬部を巣立った犬たちが、里親さんの下で天寿を全うするまで見届けられる犬部でありたいと思います

 既に看取ってくれた里親さんの多くが私たちに言ってくれます。「この子をうちに譲渡してくれてありがとう。楽しい時間を過ごさせてくれてありがとう。」と。そんな素敵な里親さんと暮らす犬たちの実家として、責任ある活動を続けていきたい、と気持ちを新たにする里親さん訪問です。

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