2017年4月発行わんわん通信No21コラム
里親さんからのお便り
犬部は2011年に発足してからこれまで、180頭の保護犬たちを里親さんの元へ譲渡してきました。この間、譲渡の際の確認事項・誓約事項などについては、何度か検討を重ね改善してきましたが、譲渡した後の里親さんのフォローについては、とても不十分なままでした。里親さんと個人的に交流を続けている一時預かりさんもいますが、まったく連絡をとっていない里親さんも大勢います。
その反省をふまえて、先日、すべての里親さん(譲渡犬の死亡が確認されている里親さんは除く)に、現在の状況をお伺いする往復はがきを出させていただきました。現在約半数の返信が届いていますが、驚いたのは狭いスペースにぎっしりと近況を書いてくださった方がたくさんいらっしゃったことです。中には、犬を看取ったことや看病していることなどをていねいに書かれたものもあり、家族に迎えた犬について、様子を伝えたり、可愛さを共有したり、トラブルを相談したい気持ちを持っておられた里親さんが、たくさんいらっしゃったんだなあと、申し訳なく思いました。
様々なエピソードと共に、何枚ものはがきで目にしたのは、「今はもう、この子がいない生活は考えられません」「出会わせてくれてありがとう」「会話が増え、癒されています」という言葉でした。また、「最初は知らない人に吠えたのに、今は誰にでも尻尾を振って番犬にならない」「最初はビビっていたけれど、慣れたらグイグイ引っ張る」「若いのに緑内障にかかって失明してしまった」等、犬の変化や病気について書かれてあっても、最後は「とても可愛いです」「大事な家族です」と結んであるはがきもたくさんありました。
保護犬は通常、名前も年齢もどんな生活をしていたのかもわかりません。保護犬を飼うということはそういうことを受け入れて、過去はどうであれ、今からお互いが知り合い家族になっていくという覚悟を持つことです。「思ったのと違う」「こんなはずじゃなかった」と言って犬を捨てる人たちと、正反対の位置にいるのが保護犬の里親さんなのかもしれません。
譲渡されていった犬たちが、こうして日本のあちこちで家族として愛され、かけがえのない時間を過ごしている。新しい家族の中に、地域の中に、しっかりと居場所を作っていることが、たくさんのハガキから伝わってきて、何だかとてもうれしく、勇気づけられました。
私たちボランティアは、殺処分の実態や終生飼育の重要性を一生懸命伝えます。行政にも積極的に啓発してくれるよう、訴えます。それは必要なことであり、これからも続けていくつもりですが、こうして実際に地域で生きている保護犬自身が発信していることも、実はとてもたくさんあるのだと思います。その犬はどこからきて、なぜそこで飼われているのかを知り、飼い主さんとの暖かい絆を目にすることで、私たちが知ってほしいたくさんのことが自然に伝わっていくはずです。保護犬を飼うという決断をして、日々それを全うしてくれている里親さんたちに心から感謝し、その里親さんをフォローし支えることは、後に続く保護犬たちのためにもとても大事なことなんだと改めて実感しました。
残りの半数の返信を楽しみに待ちながら、今後のフォローの体制を整えていきます。いただいた近況は、随時ブログにも掲載する予定ですので、皆さんもぜひのぞいてみてくださいね。