2017年2月発行わんわん通信No23コラム
「続ける」ということ
「犬部(わんわんお助け隊)」が発足して、おかげさまで今年の8月で7年目になりました。ボランティアの中には、1人で何頭も預かっているところも多い中、犬部は基本的に1軒で1頭ずつ預かるスタイルで活動を続けてきました。保健所に行き場のないまま殺処分が迫っている犬がいると、「もう1頭預かれば助けられる…」と悩むことも度々ありますが、今後も犬部は「1軒に1頭」の方針でいきたいと思っています。その理由はただ1つ、“続ける”ためです。
犬部はあくまでボランティアですから、メンバーはそれぞれ仕事があり家族があり先住犬がいて、預かる住宅事情や周囲の協力体制も様々。その中で“1頭は預かれる”と手を挙げてくれた人たちが1頭ずつ預かる。その総数が犬部の許容量です。その時の勢いでそれを越えてしまうと、どこかでパンクして継続できなくなる可能性も高い。私たちのようなボランティアがなくても殺処分が行われないことが理想ですが、まだまだしばらくは殺処分減にボランティアの力は欠かせません。無理をしてパンクしてしまうことなく、地道に“継続する”ことは私たちの大切な責任でもあると思っています。
保健所の対応はこの6年でずいぶん変わりました。犬部発足当初は、保健所に収容中の犬の様子を聞いても拒否されることもありました。捜索のポスターに殺処分の日付や県の迷い犬情報の写真を掲載しては困るとストップがかけられた時期もありました。収容犬が高齢だったりビビリだったりするだけで、譲渡不適とされて引き出しができなかったりもしました。その都度要望し、時にはけんかもし、やっと変えることができても、職員の異動と共に白紙になってがっかりすることもありました。
それでも続けている中で、保健所の限界や職員の方々の努力・苦悩に触れる機会、ボランティアの状況や思いを率直に伝える機会もでき、行政もボランティアも“殺処分をしたくない”という同じ思いの元に協力していこうという体制にはなりつつあります。時代の流れも確実に殺処分減に向かっています。
たかだか6年ではありますが、それでも“継続する”ことで見えてくること、“継続する”ことで築かれる信頼関係は確かにあります。殺処分は、“殺される犬を保護する”という出口だけではなくて、“保健所に収容される犬を減らす”という入り口へのアプローチがなければなくすことはできません。入り口へのアプローチは、犬の登録や鑑札装着を進めること・犬がいなくなった時の連絡先や対応ルートを周知すること・ペットショップやブリーダーでの無責任な販売を制限することなど、行政が主となる大きな動きが必要です。短期間では実現しない大きな動きだからと言って、その間に収容されてくる犬たちを見殺しにはできない。せめて地域の犬は殺処分に送らない!このことを中心に据えて犬部(わんわんお助け隊)はこれからも活動を“継続”していきます。