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​2015年11月発行わんわん通信No17コラム

​「子犬はいますか?」

​「小型犬は?いないの?」

​「じゃあ子犬が入ったら連絡くれます?」

 譲渡会のたびに入るこんな問い合わせ。実際に譲渡会に来てくださっても、こんな言葉を残して帰っていく人も珍しくありません。普通の人には別にどうということもない言葉なのでしょうが、私たち保護ボランティアをしている者には、「またかぁ」と気持ちが萎えるものがあります。

 子犬は無条件に可愛いです。いかにも子犬という時期は数カ月…ととても短いですが、それでもその可愛い記憶があるから、その先の10年以上を愛し続けていける、ということも確かにあると思います。

 一方で、子犬は無条件に可愛いから、可愛い今しか考えずに手を出してしまう傾向もあります。

 70代の両親が犬を亡くして寂しがっているから子犬を飼わせてあげたい…という息子さんがいます。子犬が天寿を全うする時は、このご両親は80代後半です。「あなたたちが犬を引き受けられますか?」と息子さんに聞くと、「うちは留守もするから無理だけど、両親は元気だから大丈夫ですよ」と言われます。

 小学生の娘さんが「可愛い!」と気にいって飼った子犬が、こんなに大きくなる犬だとは思わなかった、と持て余しているご家族もあります。

 小型犬も同様で、「シーズーを2匹飼っているから、もう1匹くらいにぎやかでいいから」と言う人。犬部には中型犬しかいないと言うと、「中型だと散歩しなくちゃいけないから無理だなあ」と。何とシーズーを買ったペットショップで「お散歩しなくても大丈夫」と言われたからしていないとか。ペット不可のアパートだけど、小型の室内犬なら飼ってる人もいるから大丈夫…と言う人。

 どんな犬を飼うにしてもきちんと考えなくてはならない基本的なことなのですが、小さいから…、子どもだから…と、安易に考えてしまうようです。

 逆に、犬部に一番多い中型の成犬雑種は、必要以上に警戒されます。「成犬はなつかないから」「雑種はどんな犬かわからないし」「大きいとお散歩が大変よね」…。

 成犬でもちゃんとなつくし、お散歩が大変かどうかは大きさではなくて、しつけの問題です。何より、すべての犬が「どんな犬かわからない」のですわからないところからスタートして、少しずつお互いを知り合って家族になっていくのです

 保護団体はペットショップではありません。安く希望の犬を手に入れたい、という気持ちの人には向きません。保護犬を飼うということは、そのままだったら殺処分になっていた犬に新しい幸せを築いてあげること。里親さんに求めるのは、1頭1頭の個性と向き合って、二度と死の危険にさらされないように天寿を全うさせてあげることです

 犬部の預かり犬は、どういうわけかほとんどが中型の雑種です。貰い手がみつかるのに時間はかかりますが、飼いたいという人は、雑種だけに、目の前のその犬の個性を気にいって希望してくれます。あとは、それぞれの犬と人間の幸せの形を一緒にみつけていってほしいと願います。

 個人的には一番好きな、中型の雑種たちの魅力、頑張って伝えていきます。幸せにしてあげてください!

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