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​2014年10月発行わんわん通信No13コラム

ひとりひとりにできること

 3年前のゴールデンウィーク。側溝に落ちて、ドロドロで立てなくなっていた高齢の黒色のラブラドールが、函南町役場に保護されました。保健所に送られて殺処分のカウントダウンが始まる運命の犬。見過ごすことができない仲間で引き取り、ロビンと名づけて協力して世話をしながら飼い主探しをしたのが、犬部の始まりです。その後も目の前の一頭一頭を助けるために試行錯誤をしながら、少しずつ団体としての形を整え、支援の輪も広がり、おかげさまでこの3年間で143頭の犬を殺処分から救うことができました。

 皆様のご協力・ご支援に心から感謝致します。

 犬部(わんわんお助け隊)は8月から4期目を迎えるにあたり、代表は「部長」と名称を改め、これまで副を務めてきた竹田千文が、引き継がせていただくことになりました。

 私こと竹田は、14年前に娘のたっての願いで、小鳥屋さんの店頭にいた子犬をもらってきたのが犬との生活のスタート、という人間です。子ども時代はアパートを移り住み、文鳥や鶏を飼うのが精一杯。犬のことはよくわからず、吠えていても怒っているのかうれしいのかも汲み取れなくて、さわることすら躊躇していました。動物のボランティア活動をしている人の中には、幼い頃から動物に囲まれ動物と共に生きてきた人、動物に関する経験も知識も豊富で若いうちからボランティアに携わってきた人、動物に関わるお仕事をしてきた人、

なども少なくありません。私は全くの遅咲きで、犬飼いとしては無知で安易なスタートでした。

 それでも、犬を飼う”ということの喜びと共に責任を実感するようになり、この欠かせない家族の一員を大切に思えば思うほど、人間の不注意で迷子になってしまったり、身勝手な飼い主に放棄されてしまった、何の罪もない犬が行政によって殺されていることに耐えられなくなったのです。

「思っているだけでは何も変わらない」「小さくてもできることをしよう」という思いから、犬部の活動につながりました。これは私の原点でもあり、犬部の原点でもあると思っています。「かわいそうだけど私には何もできない。誰か助けてあげて!」と言う人もたくさんいます。でも、実は私たちにできることはたくさんあります

 犬を預かれなくても、知り合いに声をかけて里親探しをしてくれる人。保健所でカウントダウンが始まっている犬の飼い主捜索をしてくれる人。譲渡会をお手伝いしてくれる人。寄付や賛助会費で支援をしてくれる人。保健所の収容期限や、迷子札・鑑札の重要性を近所の犬飼いさんに伝えてくれる人。市役所や議員さんに意見する人。電話やメールで活動を労ってくれる人。自分の犬が迷子にならないように改めて気をつける人・・・。

 犬部自体が、そういう一人一人のできることの積み重ねで成り立っています。正直に言えば、皆さんの思いを受けて実際に犬の命を助けるという形にするのは大変な仕事です。でも、それを支えているのは、できることの大きさではなく、「自分にできることをする」という同じ原点の人たちの存在です。

犬を飼う立場にある人間の責任として、あなたにできることは何ですか?

 4期目を機に、私たちと一緒に今一度考えてみませんか?そして、できることがあったらぜひ行動してみてください。全国には皆さんの思いを集めて実際に犬の命を助けている個人や団体は、たくさんあります。犬部でなくてもかまいません。日本中で「自分にできることをする」人たちの思いが、「殺処分ゼロ」につながることを願って、今期も犬部は活動していきます。

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